金融緩和と金融引き締めとは|投資・運用に必須の経済サイクル基礎を完全解説【動画あり】

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

金融緩和と金融引き締め

「金融緩和」「金融引き締め」——これを理解しないで運用している人はダメダメです。基本中の基本なので、必ず押さえておきましょう。

逆に言えば、この2つさえ分かっていれば 経済の大局観がつかめるので、長期投資でも一段良い判断ができるようになります。今回はこの2つを動画と合わせて勉強していきます。

このページの目次

金融緩和・金融引き締めは「中央銀行」がやる政策

金融緩和と金融引き締めは、中央銀行が経済の状況に応じて行う政策です。日本では日本銀行(日銀)、アメリカでは FRB(連邦準備制度理事会)が担当しています。

簡単に言うと:

  • 金融緩和=水道の蛇口を開けること
  • 金融引き締め=水道の蛇口を閉めること

このイメージで覚えておくと分かりやすいです。

中央銀行は 市場に流れるお金の量 をコントロールすることで、物価を調整します。物価のコントロール=デフレやインフレもある程度コントロールしている、ということ。デフレ環境では企業の倒産が増え、適度なインフレ環境では企業は強くなる傾向があるので、実質的に 企業の株価にも影響 してきます。だから、超大事な知識なのです。

金融緩和とは何か

金融緩和は、中央銀行が 経済を刺激するため に行う政策。主に次の2つの方法で行われます:

  • 金利の引き下げ:銀行からの貸し出しが増え、企業や個人が借りやすくなる。消費と投資が活性化する
  • 資産買い入れ(量的緩和):中央銀行が国債やその他資産を買い入れて、市場にお金を供給。銀行の資金が潤沢になり、貸し出しが促進される

金融緩和が行われると、金利が下がって 預金の魅力が減り、投資意欲が上がるため、結果として 株高 につながりやすい。大規模な金融緩和の後は、株価はバブル的に上昇しやすいので、ここを見逃すと人生でかなりもったいないことになります。

同時に、お金を市場にどんどん流すので、その通貨は 安くなる方向 に動きやすい。

日本がいま現状、世界の中で 独り金融緩和を続けている ので、米ドルに対して円安になっているのもこの影響です。

金融引き締めとは何か

金融引き締めは、過熱した経済を冷やすため に行う政策。経済が強くなりすぎると物価高(インフレ)が進みすぎてしまうので、それを抑えにいきます。

2%程度の物価上昇は経済にプラスと言われていますが、それ以上に過剰なインフレは企業倒産を招き、消費者は物価高に追いつけず実質的に貧しくなります。だから 適度なインフレ を維持するために、水道の蛇口を閉める=金融引き締めをするわけです。

金融引き締めは次の方法で行われます:

  • 金利の引き上げ:銀行からの貸し出しが減り、企業も個人もお金を借りにくくなる
  • 資産売却(量的引き締め):中央銀行が保有資産を市場に売却して資金を回収。市場のお金が減り、経済活動が抑制される

要するに、金利を上げて投資意欲を冷ます/預金に回るようにして、インフレを抑え込む。それが金融引き締めの本質です。

現在のアメリカは、物価高を抑え込むために ドルの政策金利を5%超 まで引き上げました。これで物価上昇を抑え込もうとしています。

「緩和 → 引き締め」の経済サイクル全体像

  1. 景気が悪くなる
  2. 金融緩和を始める
  3. 市場にお金が増えてくる
  4. 金利が下がる=預金しても意味が薄くなる
  5. 設備投資や株などに資金が流れ始める
  6. 株価が先に上がる(「不景気の株高」)
  7. 株価上昇で、企業や銀行の財務に余裕が生まれる
  8. 投資がさらに活性化
  9. 景気が上向き始める
  10. 企業が雇用を増やす
  11. 失業者が減り、消費も増える
  12. モノ・サービスが売れ始める
  13. 物価が上がってくる(インフレ気味)
  14. 物価高で苦しい人たちが増えてくる
  15. 強すぎる経済にブレーキをかける必要が出てくる
  16. 金融引き締めをする
  17. 金利が上がってくる
  18. 株や不動産購入を控える動きが広がる
  19. 物価高にブレーキがかかる
  20. 消費が少し冷え込む
  21. インフレが抑制される

こんな感じで、デフレ脱却のために金融緩和、インフレ抑制のために金融引き締め、というサイクルを世界中の中央銀行が繰り返しています。これに 株・為替・債券 が連動して動きます。

基本セオリーと、実戦で起きる「ねじれ」

基本セオリーはこうです:

  • 金融緩和をすると、市場が低金利になるので債券は魅力が落ち、株に資金が流れやすい
  • 通貨は、通貨量が増えるため安くなる方向
  • 金融引き締めは、その逆の動きが起きる

ただし、実際の市場の動きを見ていると、教科書通りにきれいに動かないこともあります。

例えば、利上げ局面で債券が売られて、株は逆に買われる、というパターン。アメリカが利上げをガンガン進めた 2022〜2023年には、米国の中堅銀行(シリコンバレー銀行・シグネチャー銀行など)が 保有債券の含み損 で破綻しました。一方で米国株はそれを横目に高値を更新する場面もありました。

こうした セオリーの応用 部分は、また別の動画で詳しく解説します。

今回のまとめ

今回は 「金融緩和」と「金融引き締め」 の2つを並べて勉強しました。

この2つは経済サイクルそのものを動かす力なので、運用をするうえで本当に欠かせない知識です。投資判断に必ず生きてくるので、しっかり頭に入れておいてください。

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