この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
為替を理解するには、マネタリーベース の理解が欠かせません。マネタリーベースこそが、為替のファンダメンタル(根本的な力)の正体です。日米のマネタリーベース推移を見ると、なぜここまで円安になっているのかが一目で分かります。
日本とアメリカのマネタリーベースの推移を見ると:
- 赤い線が 日本 のマネタリーベース(日銀)
- 青い線が アメリカ のマネタリーベース(FRB)
マネタリーベースは 通貨供給量 の指標の一つで、中央銀行が直接供給する通貨の総量を示します。
マネタリーベースとは?
マネタリーベースは、簡単に言うと 「お金の元(もと)」。
国の中央銀行(日本では日本銀行)が作り出すお金の総量を指します。
マネタリーベースには、主に次の3種類のお金が含まれます:
- 紙幣(しへい):みんなが使っているお札
- 硬貨(こうか):みんなが使っているコイン
- 銀行が中央銀行に預けているお金(日銀当座預金):普通の銀行が日本銀行に預けているお金
マネタリーベースは、経済にとってとても大事なお金です。
これが増えたり減ったりすることで、市場に出回るお金の量 が変わるからです。
「給食」で例えるとイメージしやすい
- マネタリーベースが増える:給食の量が増えて、みんなお腹いっぱい食べられて元気になる
- マネタリーベースが減る:給食の量が減って、みんなお腹がすき、少し元気がなくなる
イメージとしてはこんな感じです。
リーマンショックからアベノミクスへ
2008〜2009年のリーマンショックで、世界経済は低迷どころか デフレに陥り、株価も壊滅的に下落 しました。
これに対抗する形で行われたのが、アメリカの量的緩和(QE)、そして 2013年からの アベノミクス(日銀の異次元緩和)。
グラフを見ると、2013年から日本のマネタリーベースが急増 しているのが分かります。
いまは「円のマネタリーベース > ドル」になりつつある
現在では、ドルよりも円のマネタリーベースのほうが多い状態になってきています。これがドル高・円安の根本要因 です。
日本の中央銀行がたくさん円を作ると、円が市場に大量に出回ります。
お金がたくさんあると その通貨の価値が下がる ため、1ドルを買うのに必要な円の量が増える=円安になる、という仕組みです。
「たまごっちが市場にあまりなかったら価値が高くなった」のと似ています。量が多い=価値が下がる、これが通貨の基本ルールです。
金融政策で「マネタリーベース」は増減する
- アメリカが利下げすると、アメリカのマネタリーベースが増える(→ ドル安)
- 日本が利上げすると、日本のマネタリーベースが減る(→ 円高方向)
- 逆も同じ:利上げ=マネタリーベース縮小、利下げ=マネタリーベース拡大
こうやって、金融政策の上げ下げで マネタリーベースが増減 し、その差が為替レートに反映されていきます。
だから 為替は金融政策が本当に大事 なのです。経済指標は金融政策を変更するきっかけになるので、雇用統計やCPI(消費者物価指数)が大事なのもこのため。
結局、為替はマネタリーベースに行き着く
為替の本質は、「マネタリーベースの差」 に行き着きます。日米金利差・貿易収支・地政学リスクなどさまざまな要因がありますが、根本にあるのは「どちらの国の通貨が、どれだけ市場に増えているか」です。
ただし、経済破綻している国(ジンバブエ・ベネズエラ等)は、マネタリーベースを減らしても通貨安になる、という例外もあります。信用が崩れた通貨は、量だけでは語れない ということ。そのあたりは注意が必要です。
個人としてマネタリーベースをどう活かすか
- 日銀+FRBのマネタリーベースの推移を 四半期に1回 はチェック
- マネタリーベースが拡大している通貨は、通貨安方向に動きやすい
- その通貨建ての 輸入品の値上がり を意識して家計を組み立てる
- 外貨建て資産・グローバル株を保有して 通貨価値の下落をヘッジ
- 金融政策の転換(利上げ/利下げ)のタイミングが、為替トレンドの転換点
