この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。
銀行の窓口で「定期預金より少し金利がいいですよ」と 個人向け国債 を勧められた経験、ありませんか? 2020〜2021年の超低金利・量的緩和環境のもとでは、日本国債を個人が買うメリットはほぼゼロに近い、というのが私の結論です。理由を順に説明します。

2021年1月30日時点のメガバンクの預金金利
2021年1月30日時点での預金金利
メガバンクの普通預金金利は年 0.001%
1,000万円預けて1年間寝かせると、もらえる利息は 100円 ほど。コンビニでチロルチョコを1個買って終わりです。これが当時の日本の銀行預金の現実でした。
個人向け国債は少し金利が高いが…0.05%台


1,000万円を1年寝かせて、利息は 約570円。コンビニ弁当1個分。普通預金よりはマシですが、微々たるものです。
国債と定期預金は「運用」とは呼べない水準
定期預金もやや金利は高いものの 0.2%程度。これも運用とは言えない金利です。インフレ率を考慮しない、「見た目の数字が少し増えるのを楽しむお遊び」程度の意味しかありません。
政府は2%物価上昇を国策で目指している(インフレターゲット)
① 日本は国策として 2%の物価上昇 を目標に掲げる
② インフレターゲットを設定
③ 日銀がお札を大量に刷り
④ 政府は財政出動を継続
⑤ 要するに国策で インフレ誘導 をしている
⑥ インフレが達成されれば物価は上がる
⑦ 預金金利が動かなければ 実質金利はマイナス に落ち込む

物価上昇率を加味すると、実質金利はマイナス。預金は「持っているだけで目減りする資産」になっています。
運用として成り立たない国債を勧めてくる銀行員
① 実質金利がマイナス近辺で推移
② 運用として成り立たないのは明らか
③ それでも銀行員が国債を勧めてくる理由は?
④ 手数料/販売実績/顧客の囲い込みのため
① 100万円分の個人向け国債を購入し
② 毎年570円ほどの利息を受け取り
③ 10年経って元本100万円が戻ってくる
④ 10年間で受け取った利息は合計5,700円ほど(ざっくり試算)
10年間ロックして、5,700円。これって本当に嬉しいですか?
すぐ引き出せる銀行預金と違って、国債は…
日本の国債は 日銀が大量に買い支えて 高値を作っています。そのおかげで利回りが最低水準(ほぼゼロ)まで下がっています。つまり日銀の量的緩和のおかげで 国債は「価値が低いのに値段だけ高い」バブル状態 なわけです。
国債のキャピタルゲインも狙えない
国債価格はすでに歴史的ピーク(金利は歴史的安値)。これ以上の値上がり(キャピタルゲイン)はほぼ期待できません。むしろ金利が上がる局面では国債価格が下落するので、損する可能性しか残っていません。金利はほぼゼロ、値上がりも期待できない——要するに「お金をほとんど意味のない状態で10年間預ける商品」になっています。必要なときに引き出せる普通預金の方がマシ、というのが個人の運用視点での結論です。

国債が買い時になるのは「インフレで金利が高いバブル期」
① 国債は各国がインフレ局面に入ったとき
② 政策金利が引き上げられ、長期金利も上がる
③ バブル時の長期金利は5〜7%レベルになることも
④ 日本も1989年頃はそれくらいの金利水準だった
⑤ そのときに買えば、10年間その高い金利を受け取れる
⑥ その後、金利低下局面では国債価格が上昇し値上がり益も狙える
「これからデフレが来る」「金利は下がる」と読むなら、高金利の国債を仕込むのが王道。逆に、いまのように金利がほぼゼロで日銀が買い支えているピーク水準の日本国債を、わざわざ個人が買うメリットはほぼありません。日銀が「自分が買い支えるから、他のものにお金を移しなさい」とサインを出してくれている状態なのですから、素直にそれに乗っかるのが運用です。
逆に言えば、国債が完全にダメだからこそ、利回りの取れる株式や不動産にお金が流れる のです。株は配当利回りに加えて キャピタルゲイン が大きく狙えます。国債利回りを見るだけでも、株は構造的に上がりやすい環境にある、と言えます。アフターコロナで金融緩和が継続するなら、さらにもう一段の株高もあり得ると思っています。
ノウハウ君の関連記事
- 課税所得がある方の長期運用においては iDeCo を活用しない理由はありません
- アベノミクスで円貯金(現金預金)を続けると資産は目減りします
- 2021年3月確認 マネーストック(M2)がどんどん増えています
- 株価が上がっている理由は企業業績ではなくお金の価値が下がっているから
※ 本記事は 2021年1月30日 時点の金利環境を前提に書かれています。2024〜2025年にかけて日銀の金融政策はマイナス金利解除・利上げ方向に転換しており、国債利回り環境も大きく変わっています。投資判断は最新の金利状況をご確認ください。


