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株や投資信託で稼ぐにしても、海外旅行をするにしても、「為替」 の基本を知らないと自分の資産がいま増えているのか減っているのかさえ分からなくなります。この記事では、私が普段「為替の基本ってこれだけ押さえておけばOK」と感じている内容を、質問形式 でまとめます。

前提として市場は教科書通りには動かない
前提として、相場や市場は生き物ですから教科書通りには動きません。国力の力関係、投機筋(ヘッジファンド)の動き、物価、政策金利など、いろいろな要素が絡み合います。

ただ、外国為替の基本を知らないと、円という現金の価値が増えているのか減っているのかも分かりません。これからどう対策を打つか、為替ヘッジありの商品とヘッジなしの商品、どちらの投資信託を買うかの判断もできません。以下に質問形式でまとめましたので、基本を学んでいきましょう。
● 質問① 1ドル=120円が1ドル=80円になったら円高ですか?円安でしょうか?
1ドル=120円の場合
1ドル買うのに120円も必要になります
ドルが高いから、円が多めに必要なのですね。
よってこの場合は ドル高・円安
1ドル=80円の場合
1ドル買うのに80円ですむ
ドルが安いから、円は少なめでよい
よってこの場合は ドル安・円高
「円高 / 円安」だけで覚えるのではなく
「円高ドル安/円安ドル高」 とセットで覚えると分かりやすいです。
極端に考えてみてください。
1ドル=100,000円
1ドル=3円
1ドル買うのに10万円も必要なときは?
円の価値はどう? めちゃくちゃ「円安」ですよね。
1ドル=3円のときは「円高」です。
● 質問② 1ドルが80円から120円になるとトヨタは儲かるのでしょうか?損するのでしょうか?
トヨタはアメリカ市場で車を販売
その売上はドルで受け取ります。
受け取ったドルを円に戻したとき、ドルの価値が高い方がトヨタは儲かります。
よってトヨタは ドル高(円安)のときの方が儲かります。
東南アジアの方が日本で働いて、ドルや円を自国通貨に持ち帰るとお金持ちになれる、というのと同じ理屈です。輸出企業は「相手国通貨が高い/自国通貨が安い」方が儲かりやすいのです。
● 質問③ 円高になると外貨預金は儲かるのでしょうか?損するのでしょうか?
質問②と同じ理屈です。
ドルで預金しているのですから、ドルの価値が上がった方が(円に戻したときに)儲かります。よって ドル高・円安 になれば外貨預金は儲かります。逆に円高になれば、外貨預金は為替差損になります。
● 質問④ アメリカの経済が強いと1ドル=100円が120円になる? 70円になる?
① アメリカ経済が強いとドル需要が増えてドル高になります
② 経済が強いと物価が上がり始めます(インフレ)
③ 物価が上がりすぎないように、FRBが金利を上げます
④ 金利を上げると、消費を冷ましてインフレを抑える効果が出ます
⑤ 金利が上がるとドル建て資産の魅力が増し、ドルが買われます
⑥ 金利とはお金の価値そのものでもあるので、ドル高方向に動きます
経済が強い → インフレ懸念 → 金利を上げて景気にブレーキ → 金利上昇でドル高、という流れです。長期金利の動きも為替に直結します。
● 質問⑤ 為替が円安になると物価は上がるの?下がるの?
海外輸入に頼っている日本にとって、為替は物価を直撃します。
円の価値が高ければ、海外の物を買うときに ドルを安く調達できる ため、仕入れコストが下がります。仕入れが安いので物価も抑えられます。よって円高のときは物価が安くなりやすい。
逆に 円安のときは仕入れコストが上がり、企業はその分を価格に転嫁します。よって円安時は物価が上がりやすい。近年の日本のインフレも、賃金より先に輸入物価が上がる「悪い円安」の側面があります。
● 質問⑥ 日銀がお札を増やすと円安? 円高?
お札を増やすと、その通貨の価値は下がります。
量が増えるとモノの価値は下がる、というのは経済の基本です。任天堂スイッチを大量に増産しすぎれば、市場に出回ってプレミアがなくなり値段が下がります。
円も同じ理屈で、増やすと価値が下がり、円安傾向 になります。
ただし、相手国(ドルやユーロ)もそれ以上にお札を増やしたり、ドル安政策をとった場合は、相対的に円高になることもあります。「相手の状況とセットで判断する」のが為替の鉄則です。
● 質問⑦ 円安になるとiPhoneは高くなる? 安くなる?
米国で999ドルで販売しているiPhoneで計算してみると分かります。
1ドル=120円のとき
999 × 120 = 119,880円
1ドル=80円のとき
999 × 80 = 79,920円
よって、円高のほうがiPhoneは安く買えます。2022年以降の急激な円安で iPhone が値上げ続きだったのもこのためです。
● 質問⑨ 円安になると輸入企業にはプラス? マイナス?
日経平均は225社の平均値で、グローバルに展開している輸出企業の比率が高い構成です。輸出企業は質問②のとおり、トヨタなどは円安の方が儲かります。よって 日経平均は円安の方が上がりやすい。さらに、円安になると 外国人投資家から見た日経平均(ドルベース) が割安に見えるため、買いが入りやすくなります。日本株は外国人投資家のフローが入ってこないと上がりにくいので、需給面からも円安が追い風になります。
逆に 輸入企業 の場合、海外から仕入れるためにドルが必要で、ドル高(円安)になるほど仕入れコストが上がります。そのぶん価格転嫁を強いられ、値上げで売上が落ちるリスクが出てきます。よって輸入企業は 円高のほうがメリットが大きい といえます。
● 質問⑩ アメリカが対中で貿易赤字。アメリカは人民元を安くしたい?高くしたい?
もちろん、アメリカは 人民元をドルに対して高くしたい です。
貿易収支で苦しんでいる国は 輸出で苦戦 しているので、自国通貨を安くしたがります(質問②)。今回はアメリカ目線なので、ドル安・人民元高 にしたい。人民元が高くなると、中国の人にとってアメリカ製品(iPhoneなど)が安く見えて買いやすくなり、アメリカの貿易収支が改善します。中国側はもちろん人民元高を嫌がります。これが米中貿易戦争・為替戦争の基本構造です。
● 質問⑪ 経済が悪い国は通貨を強くする? 弱くする?
グローバル経済の今、世界からお金が入ってこないと経済は弱くなります。経済が悪いとき、通貨を安くして「他国から見て割安」に見せる ことで、輸出・観光・海外投資マネーを呼び込もうとします。
「すごく貧しい国の通貨が高い」と、その国の物は他国から高く見えて買ってもらえません。通貨安は弱い経済の救済策のひとつ、と覚えておくと整理しやすいです。
● 質問⑫ 国が金利を上げると通貨はどうなる?
金利を上げるとは、お金そのものの価値を上げる ことです。基本的には物価上昇を食い止めるために、お金の価値を上げて物価を下げる方向に作用させます。金利が高いと、その国の通貨で預金しよう・運用しよう、という動きが世界中から起こります。よって 利上げ → 通貨高(ドル高・円高・ユーロ高) になります。
2022〜2023年に米国が大幅利上げをして、円安が一気に進んだのは「日米金利差」が拡大したからです。これが直感的に分かると、為替ニュースの理解が一段深まります。
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